家賃を滞納した賃借人に対し、執拗な取立てを行ったり、実力で明渡しを強行する「追い出し屋」被害球相次いでいる。中でも家賃債務保証業者による被害が目立っている。
家賃債務保証業者は、賃借人から委託を受けて、保証料を受領し、賃貸住宅契約の連帯保証人になること(機関保証)を主たる業務としている。
・「追い出し」被害の救済
(1)「追い出し」状態の解消
賃貸物件の鍵を交換して入室ができなくすることが違法であって許されない。これらの業者に対しては、解錠して入室を可能にするなど違法状態を即時に解消することを強く要求すべき。
賃借人からの正当な要求にもかかわらず、滞納家賃の解消が先決であるなどとして、一向に解錠に応じない業者もある。その場合、賃借権に基づく妨害排除・予防請求権や占有権に基づく妨害排除請求権もしくは占有回復請求権を被保全債権として債権者の占有を許す類型の占有移転禁止の仮処分を申し立てることが有効。
(2)取立てや「追い出し」行為に対する慰謝料請求
家賃債務保証業者が求償権を行使する場合であっても賃借人の生活を脅かし、プライバシー権を侵害するなどの手法による場合は、正当な権利行使とはいえない。また、信頼関係が破壊されたとはいえず、賃貸住宅契約の解除請求発生したとはいえないにもかかわらず、明渡しを求めるような行為もまた、違法というべきである。このような社会的相当性を欠く方法による取立てを行った家賃債務保証業者は、賃借人に対し、不法行為責任を負う(福岡地判平21・12・3、名古屋地判平23・4・27)。
家賃を滞納してしる事実を貼り紙等で告知することは、名誉毀損やプライバシー権の侵害であり、不法行為として賠償責任を負う(大阪簡判平21・8・28、大阪地判平22・5・28)。
鍵を交換するなどして、住宅の解錠を阻害し、賃借人が使用できないようにする行為は、賃貸借契約書等に自力救済を容認する条項があるとしても、緊急やむを得ない特別の事情がない場合にも適用されるときは公序良俗違反で無効と解されるのであるから、違法性を阻却されるような事情はなく、不法行為が成立する。
単に家賃を滞納しているというだけで、「法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難である」といえないことは、明白。しかも家賃債務保証業者は、賃借人に対し、求償権を行使することはできても居室からの退去・明渡しを求めることができる立場にあるわけではなく、実力をもって賃借人の占有を排除する行為は、そもそも自らの権利を実現するものではなく、この点で、およそ「自力救済」といえるものですらない(東京地判平24・9・7)。
(3)動産の処分に対する損害賠償請求
法の定める手続によらずに、住宅内に保管されている賃借人の私物を撤去し、処分することは、所有権を侵害する不法行為であって、これによって生じた損害を賠償しなければならないことは当然(東京地判平24・9・7)。
損害額については、賃貸人や管理業者の例であるが、浦和地判平6・4・22は、家財の損失を補償する火災保険の簡易評価基準に基づき単身男性の家財の損害額を250万円と認定しており、このほかいずれも単身男性について70万円(大阪高判平23・6・10)、100万円(東京地判平24・3・9)と認定。
契約・成年後見・不動産
●借地借家の裁判例
●賃貸借契約による原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
●入居時リスト
●別表3 契約書に添付する原状回復の条件に関する様式
●別表4 原状回復の精算明細等に関する様式(例)
●平成24年4月1日に改正老人福祉法が施行―◆有料老人ホームの利用者保護【権利金等の受領禁止】【短期間での契約解除の場合の返還ルール】(90日ルール)
生活支援会員制度(【契約で騙されないための防犯対策】(悪質商法、詐欺商法等)【相続・遺言・成年後見制度・離婚・不動産等】)
平成25年度より相続税の改正が成立(平成25年3月29日)、平成26年1月1日・平成27年1月1日施行となりますが、今までよりも増税になり、相続対策が必要となります。
H26.1.1より小規模宅地等の特例の改正(一棟の二世帯住宅・老人ホームに入所)
h27.1.1より小規模宅地等の特例の改正(小規模宅地等の特例の土地の面積が拡大(240平方メートル→330平方メートル)、特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等の併用(330平方メートル+400平方メートル))
―教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について―H25.4.17文部科学省が公表
「子・孫に贈与」-緑の贈与制度、風力、地熱、太陽光、バイオマス、小水力などの再エネを対象とした投資証券や、太陽光パネルなどの設備を贈る非課税となる新制度。
政府・与党は検討に入り、秋にまとめる税制改正大綱に盛り込み、平成26年から導入予定。
東京都世田谷区相続専門―相続対策・遺言書・生前贈与・相続関係の判例
婚外子の相続差別違憲・無効の決定(H25.9.4最高裁判決)
婚外子の相続格差を認めた民法の規定は、遅くとも相続が発生した2001年7月当時、憲法14条に違反しており無効
婚外子という自ら選択できない事情で、子供が不利益を受けることは許されない
今回の違憲判断は、決着済みの相続には影響を及ばさない
世田谷区で地域に根ざした地域に密着した社会貢献型の街の法律家を目指す「地域貢献市民法務研究会」 平成25年10月20日街頭相談会開催(世田谷区 行政が主催)-4年連続参加
↑平成24年10月14日街頭無料相談会を開催(例年100名程参加)