1 法第11条(広告の表示)関係
(1) 法第11条の適用を受ける広告(通信販売広告)について
法第11条の適用を受ける広告(通信販売広告)は、販売業者等が通信手段により申込みを受けて商品の販売等を行うことを意図していると認められる広告である。
したがって、広告に通信販売を行う旨明確に表示されている場合が通信販売広告に該当する
新聞、雑誌に掲載される広告のみならず、ダイレクトメール、テレビ放映、折り込みちらし、インターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む。以下同じ。)、パソコン通信、電子メール等において表示される広告も含まれる。
(2) 法第11条本文の解釈について
法第11条第4号は、商品に瑕疵がなく、販売業者に契約違反のない状態において、返品を認めるか否かを表示すべき旨の規定であり、一方、省令第8条第1項第5号は、商品に瑕疵がある場合の販売業者の瑕疵担保責任について特約する場合にその旨表示すべき旨の規定である。
前者は絶対的表示事項であり、後者は民商法一般原則によらず特約する場合のみ表示することを義務づけた表示事項である。
したがって、これらの事項について表示する場合は、当該表示が法第11条第4号(いわゆる返品特約)についての表示であるか、省令第8条第1項第5号(瑕疵担保責任)についての表示であるか、あるいは双方を同時に表示したものであるかを明確にする必要がある。
返品特約がない場合においては、「商品に欠陥がある場合を除き、返品に応じない」旨を表示することになる。
瑕疵のない商品の返品を認める場合、その送料の負担の有無をあわせて表示させることなどが必要である
「氏名又は名称」については、個人事業者の場合は戸籍上の氏名又は商業登記簿に記載された商号を、法人にあっては、登記簿上の名称を表示することを要し、通称や屋号、サイト名は認められない。
個人事業者にあっては、現に活動している住所をそれぞれ正確に表示する必要がある。
また、「電話番号」については、確実に連絡が取れる番号を表示することを要する。
「通信販売に関する業務の責任者」とは、通信販売に関する業務の担当役員や担当部長等実務を担当する者の中での責任者を指すものであり、必ずしも代表権を有さなくてもよい。
第1号及び第2号に定める事項は、販売業者等の属性に関するものであることから、広告中には、消費者が容易に認識することができるような文字の大きさ・方法をもって、容易に認識することができるような場所に記載しなければならない。
インターネット・オークションにおいて、当該オークションシステム内に第1号及び第2号に定める事項を記載可能であるにもかかわらず、当該システム外の自己のホームページへのリンクを貼り、その中で記載しているような場合は、通常は「冒頭部分から容易に記載箇所への到達が可能となるような方法」に該当しない。
省令第8条第1項第4号(購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭)の表示例について
販売価格又は役務の対価及び送料(法第11条第1号)のほか、省令第8条第1項第4号に定める購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭としては、工事費、組立費、設置費、梱包料、代金引換手数料等が考えられる
省令第8条第1項第6号に定める事項の表示
通信販売において、ソフトウェアに係る取引の広告を行う際には、その動作環境の表示を義務づける。
省令第9条第1号(送料の金額表示)の表示方法について
この規定は、送料の表示について「送料実費」等の表示ではなく、金額表示を行うことにより購入者の負担する費用を明確化しようとするものである。
省令第9条第2号(商品の引渡時期等)の表示方法について
「商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期」は「期間又は期限」をもって表示しなければならない。
商品の引渡時期は、例えば、「入金確認後○日以内」とか「入金確認後○月○日まで」のように明確に表示しなければならない。
「請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示」
1.取引内容等についての事項が表示されている書面(又は電子メール等の電磁的記録)である旨及び
2.請求に応じて遅滞なく送付する旨が分かるものであることが必要である
実際に請求があった場合に「遅滞なく」書面又は電磁的記録により省略された全ての事項を提供できるような措置を講じていなければ、本項ただし書によって省略をすることはできない。ここでいう「遅滞なく」提供されることとは、販売方法、申込みの有効期限等の取引実態に即して、申込の意思決定に先立って十分な時間的余裕をもって提供されることをいう。
法第11条第4号の返品に関する事項の省略について
返品の可否、返品の条件、返品に係る送料負担の有無という重要な事項以外のものについては、本条ただし書による省略をすることができるものとする(省令第10条第1項、第2項)。
※その他、下記の内容が規定されている
・法第12条(誇大広告等の禁止)関係
・法第12条の2(合理的な根拠を示す資料の提出)関係
・法第12条の3(承諾していない者に対する電子メール広告の提供の禁止等)関係
・法第12条の4関係(電子メール広告受託事業者(販売業者等から法第12条の3第5項各号に掲げる業務について一括して委託を受けた者)についての規制内容を規定したもの)
・法第13条(通信販売等における承諾等の通知)関係
・法第14条(指示)関係
・法第15条の2(通信販売における契約の解除等)関係
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