8 逸出財産の返還の方法等
(1) 債権者は,前記1(2)又は5(2)により逸出した財産の現物の返還を請求する場合には,受益者又は転得者に対し,次のアからエまでに掲げる区分に応じ,それぞれ当該アからエまでに定める方法によって行うことを求めるものとする。
ア 詐害行為による財産の逸出について登記(登録を含む。)がされている場合(後記イの場合を除く。)当該登記の抹消登記手続又は債務者を登記権利者とする移転登記手続をする方法
イ 詐害行為によって逸出した財産が債権である場合
(ア) 当該債権の逸出について債権譲渡通知がされているときは,当該債権の債務者に対して当該債権が受益者又は転得者から債務者に移転した旨の通知をする方法
(イ) 当該債権の逸出について債権譲渡登記がされているときは,債権譲渡登記の抹消登記手続又は債務者を譲受人とする債権譲渡登記手続をする方法。ただし,上記(ア)の債権譲渡通知の方法によって行うことを
求めることもできるものとする。
ウ 詐害行為によって逸出した財産が金銭その他の動産である場合
金銭その他の動産を債務者に対して引き渡す方法。この場合において,債権者は,金銭その他の動産を自己に対して引き渡すことを求めることもできるものとする。
エ 上記アからウまでの場合以外の場合
詐害行為によって逸出した財産の性質に従い,当該財産の債務者への回復に必要な方法
(2) 上記(1)の現物の返還が困難であるときは,債権者は,受益者又は転得者に対し,価額の償還を請求することができるものとする。この場合において,債権者は,その償還金を自己に対して支払うことを求めることもできるものとする。
上記(1)ウ及び(2)により受益者又は転得者が債権者に対して金銭その他の動産を引き渡したときは,債務者は,受益者又は転得者に対し,金銭その他の動産の引渡しを請求することができないものとする。受益者又は転得者が債務者に対して金銭その他の動産を引き渡したときは,債権者は,受益者又は転得者に対し,金銭その他の動産の引渡しを請求することができないものとする。
(3)上記(1)ウ及び(2)により受益者又は転得者が債権者に対して金銭その他の動産を引き渡したときは,債権者は,その金銭その他の動産を債務者に対して返還しなければならないものとする。この場合において,債権者は,その返還に係る債務を受働債権とする相殺をすることができないものとする。
9 詐害行為取消権の行使に必要な費用
(1) 債権者は,詐害行為取消権を行使するために必要な費用を支出したときは,債務者に対し,その費用の償還を請求することができるものとする。この場合において,債権者は,その費用の償還請求権について,共益費用に関する一般の先取特権を有するものとする。
(2) 上記(1)の一般の先取特権は,後記11(2)の特別の先取特権に優先するものとする。
10 受益者の債権の回復
債務者がした債務の消滅に関する行為が取り消された場合において,受益者が債務者から受けた給付を返還し,又はその価額を償還したときは,受益者の債務者に対する債権は,これによって原状に復するものとする。
11 受益者が現物の返還をすべき場合における受益者の反対給付
(1)債務者がした財産の処分に関する行為が取り消された場合において,受益者が債務者から取得した財産(金銭を除く。)を返還したときは,受益者は,債務者に対し,当該財産を取得するためにした反対給付の現物の返還を請求することができるものとする。この場合において,反対給付の現物の返還が困難であるときは,受益者は,債務者に対し,価額の償還を請求することができるものとする。
(2)上記(1)後段の場合において,受益者は,債務者に対する価額償還請求権について,債務者に返還した財産を目的とする特別の先取特権を有するものとする。ただし,債務者が,当該財産を受益者に処分した当時,その反対給付について隠匿等の処分(前記2(1)ア参照)をする意思を有しており,かつ,受益者が,その当時,債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたときは,受益者は,その特別の先取特権を有しないものとする。
(3)上記(2)の適用については,受益者が債務者の親族,同居者,取締役,親会社その他の債務者の内部者であったときは,受益者は,当該行為の当時,債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定するものとする。
12 受益者が金銭の返還又は価額償還をすべき場合における受益者の反対給付
(1)債務者がした財産の処分に関する行為が取り消された場合において,受益者が債務者から取得した財産である金銭を返還し,又は債務者から取得した財産の価額を償還すべきときは,受益者は,当該金銭の額又は当該財産の価額からこれを取得するために受益者がした反対給付の価額を控除した額の返還又は償還をすることができるものとする。ただし,債務者が,当該財産を受益者に処分した当時,その反対給付について隠匿等の処分(前記2(1)ア参照)をする意思を有しており,かつ,受益者が,その当時,債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたときは,受益者は,当該金銭の額又は当該財産の価額の全額の返還又は償還をしなければならないものとする。
(2)上記(1)の場合において,受益者が全額の返還又は償還をしたときは,受益者は,債務者に対し,反対給付の現物の返還を請求することができるものとする。この場合において,反対給付の現物の返還が困難であるときは,受益者は,債務者に対し,価額の償還を請求することができるものとする。
(3)上記(1)の適用については,受益者が債務者の親族,同居者,取締役,親会社その他の債務者の内部者であったときは,受益者は,当該行為の当時,債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたものと推定するものとする。
13 転得者の前者に対する反対給付等
債務者がした受益者との間の行為が転得者に対する詐害行為取消権の行使によって取り消された場合において,転得者が前者から取得した財産を返還し,又はその価額を償還したときは,転得者は,受益者が当該財産を返還し,又はその価額を償還したとすれば前記10によって回復すべき債権又は前記11によって生ずべき反対給付の返還又は償還に係る請求権を,転得者の前者に対する反対給付の価額又は転得者が前者に対して有していた債権の価額の限度で,行使することができるものとする。
14 詐害行為取消権の行使期間
詐害行為取消しの訴えは,債務者が債権者を害することを知って詐害行為をした事実を債権者が知った時から2年を経過したときは,提起することができないものとする。詐害行為の時から[10年]を経過したときも,同様とするものとする。
契約・成年後見・不動産
平成25年度より相続税の改正が成立(平成25年3月29日)、平成26年1月1日・平成27年1月1日施行となりますが、今までよりも増税になり、相続対策が必要となります。―教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について―H25.4.17文部科学省が公表
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