・高速ツアーバス利用の企画旅行における広告のあり方に関する旅行業法施行規則等の改正(2012年7月1日から施行)
2012年4月に関越自動車道で発生した高速ツアーバス事故を受け、国土交通省は「高速ツアーバス等貸切バスの安全規制の強化」を決定した。それに基づき、旅行業法施行規則等が改正された。
主な改正点は次のとおりである。
まず、旅行業者等の禁止行為として、もっぱら企画旅行の実施のために提供される運送サービス提供者の輸送の安全を不当に阻害する行為が追加された。これにより、当初予定していた旅行計画内容の出発直前の変更や、旅行業者からの一方的変更、旅客の乗降時の安全確保が十分でない場所を乗降場所に選定することが禁止された(旅行業法施行規則37条の9)。
また、高速ツアーバスを利用した旅行を企画・実施する場合は、広告で利用予定貸切バス事業者を事前に表示し、事前表記が困難な場合には、「Aバス会社又はBバス会社」のように限定的な記載方法により複数列記することが義務付けられた(「企画旅行に関する広告の表示基準等について」2)。
・「企画旅行に関する広告の表示基準等について」の改正案及び「高速バス表示ガイドライン」
1.背景
平成24年4月29日の群馬県藤岡市の関越自動車道における高速ツアーバスの事故の発生を踏まえ、今夏の多客期に向けた緊急対策として、利用者が乗車するバスを選択する上で、特に重要と考えられる情報をわかりやすく提供するとともに、このような取組を通じて安全性等に関する情報の「見える化」を進め、関係事業者による輸送の安全性等の向上に向けた取組を促すため、「企画旅行に関する広告の表示基準等について」の一部改正及び「高速バス表示ガイドライン」の策定を行う必要がある。
2.概要
(1)「企画旅行に関する広告の表示基準等について」の一部改正
旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則(平成21年内閣府・国土交通省令第1号)」第5条及び第13条について、旅行業者が旅行者に対して、説明すべき取引条件の内容及び企画旅行の広告において表示すべき内容を定める「企画旅行に関する広告の表示基準等について」(平成17年国総旅振第387号)の一部を改正し、高速ツアーバスの取引条件の内容及び企画旅行の広告において表示すべき事項に下記に掲げる事項を加えることとする。
1. 実車走行距離(例:約○○○km)
2. 交替運転者(例:2名乗務/1名乗務)
3. 利用予定のバス事業者名又は利用予定のバス事業者リスト
4. 利用予定のバス事業者が加入する任意保険(共済)の概要
(例:「対人賠償無制限」)等
(2)「高速バス表示ガイドライン」の策定
高速乗合バス事業者、旅行業者及び販売サイトを含む関係者による表示の改善や国による関係者への指導における指針として、高速乗合バス及び高速ツアーバスにおけるインターネット(携帯電話用サイトを含む。以下同じ。)、紙媒体及び車両における表示を対象に、下記に掲げる事項の表示その他所要の措置を内容とする「高速バス表示ガイドライン」を策定することとする。
① インターネットにおける表示
イ)表示を必須とする事項
1)高速乗合バスと高速ツアーバスの別
2)高速ツアーバスの場合、実際に運行を行う貸切バス事業者
3)実車走行距離(例:約○○○km)
4)所要時間(見込み)
5)交替運転者(例:2名乗務/1名乗務)
6)損害賠償責任保険契約又は損害賠償責任共済契約の限度額の表示
*1高速ツアーバスを企画実施する旅行業者が貸切バス事業者等と設置し、安全対策を推進する協議会
*2利用者・旅行業者が高速ツアーバスを利用・企画する際に安全な貸切バスの選択に資する情報を提供するため、今夏の多客期以降に高速ツアーバスを運行する意向のある貸切バス事業者について整理し、公表するリスト
*3高速ツアーバスに係る企画旅行の広告表示や貸切バス事業者の安全性に関する情報について、利用者等から通報を受けるため、国土交通省のホームページ上に「高速ツアーバスの安全通報窓口」を設置するもの(例:対人賠償無制限)
7)高速ツアーバスの場合、安全運行協議会*1の設置の有無
8)国土交通省「高速ツアーバス運行事業者リスト」(仮称)*2へのリンク
9)国土交通省「高速ツアーバスの安全通報窓口」*3へのリンク等
ロ)表示を推奨する事項
乗降場所の住所及び地図等について表示することとする。高速ツアーバスにあっては、これに加え、停留所標識が設置されていない旨とともに、乗降場所付近の目印となる建築物等も表示することとする。
② 紙媒体における表示
特に、利用者にとって「高速乗合バス(路線バス)」と「高速ツアーバス(旅行商品)」の別が容易に判別できるよう表示するとともに、最新の情報が掲載されたホームページの紹介を行うこと等により、利用者がより詳しい情報を得られるようにすること等を定めることとする。
③ 車両における表示
イ)車外への表示
高速ツアーバスについては、日本工業規格A列3番以上のサイズの表示面に、以下の表示内容を大きな字で記載し、バスの乗降口付近に見えやすいように、夜間でも判読が容易なように掲示することとする。
(例)高速ツアーバスの場合の表示内容
ロ)車内での表示
走行距離が400㎞以上の運行については、利用者の目に留まりやすい場所(例.入口付近又は運転者席後ろの防犯仕切り板付近)に、以下の事項を掲示又は備え付けることとする。
【表示項目】
1)乗合バス事業者名(高速乗合バスの場合に限る。)
2)旅行業者名(高速ツアーバスの場合に限る。)
3)貸切バス事業者名(高速ツアーバスの場合に限る。)
4)運行経路
乗客が乗降車する全ての乗降場所・休憩場所とその発着予定時刻・休憩予定時間について記載。
5)実車走行距離
6)交替運転者の配置計画
(例.「2名乗務」、「◇◇SAで待機中の運転者と交替」、「交替予定なし(◇◇SAで休憩し、運転者が2時間仮眠)」)
7)車両の初度登録年月(例.「平成20年5月」)
8)事故防止技術の装着状況(例.「ふらつき注意喚起装置」、「車線逸脱警報装置」、「居眠り感知装置」)
9)運行に係る注意書き
ドライバーが疲労等により経路上に記載のないサービスエリア等において休憩をとることは道路運送法において認められていること、その結果、安全運行のため多少遅れが出る可能性があること等について記載。
ハ)車内での放送
走行距離が400km以上の運行については、起点バス停留所等からの出発時に運転者(交替運転者を含む。)が氏名、途中休憩の場所(運転者が仮眠を取る場合はその旨も付言)及び安全運転で運行する旨の車内放送を行うこととする。
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