(1) 婚姻関係が破綻していない場合
義務者は自己と同程度の生活を保障する義務(生活保持義務を負う(札幌高決昭50‐6‐30)。
(2) 破綻し,義務者が有責配偶者である場合
義務者は,自己と同程度の生活を保障する義務を負う(札幌高決昭50・6・30)が,別居期間の長さが著しいなど破綻の程度を,有責性の事情よりも重視すベき場合には生活扶助義務にとどまる場合もあるとされる。
(3) 破綻につき同程度の責任がある場合
算定表公表前の判例では,分担義務は軽減するとしていた。軽減の理由は,婚姻費用分担義務は,本来,婚姻継続のための夫婦の協力扶助義務を基礎とするものだからとされた(東京高決昭57・12・27)。双方に破綻の責任があり,離婚訴訟係属中の事案で,離婚訴訟提起後は,生活扶助義務を前提として生活保護基準に準拠した分担をすることで必要かつ十分とする例(札幌高決平3‐2‐25),同じく離婚訴訟係属中の事案で,社会的にみて相当と認められるだけの分担をしている限り,必ずしも自己と同一の生活を保持するに足りるだけの婚姻費用を分担しなければならないものではないとする例(前橋家審平4・11・19),通常の社会人として生活するのに必要な程度で足りるとする例(東京高決昭52‐9‐30)などがあった。「通常の社会人として生活するのに必要な程度」とは,都道府県人事委員会算定の標準生計費を意味する(東京高決昭54・2・9)。
ただし,算定表公表後の判例では,「婚姻破綻の責任が相手方(=原審申立人妻)にのみあるとは認め難いとして算定表に依拠したり(東京高決平16‐3‐12),「別居の原因の全部又は大部分が相手方側(=原審申立人妻)にあるとは考えられず……生活保持義務であることを前提として抗告人の婚姻費用分担額を才めるのが相当」としており(大阪高決平l6・1・14),分担義務を特に軽減させていないが,破綻の程度(別居の長期化)によっては,軽減される場合もありうると思われる。
(4) 有責配偶者から請求する場合
権利の濫用として分担請求が認められない場合がある。夫婦は婚姻義務を互いに誠実に履行すベきであるが,それを履行しない者が相手方に対してのみ義務の履行を求めるのは,婚姻義務の相互性に反しているからである。ただし,配偶者の生活費は否定されても,子の監護費用に関する部分は生活保持義務が認められる(東京高決昭58‐12‐16)。算定表後の判例も,「したがって,有責配偶者からの婚姻費用分担審判の申立てがされた場合には申立て自体が権利の濫用であるとし婚姻費用分担額を零円とする趣旨で申立てを却下するか,そうでないとしても,通常の夫婦間における扶養義務(いわゆる生活保持義務)よりも程度を減じて分担を命ずるのが相当である」とする(大阪高決平16‐1‐14)。
算定表以前の判例では,夫が病気から回復して退院し妻に同居を求めたが,妻はこれに応じず,同居生活回復のための努力を行わず.別居からl0年以上経過した後に,妻から婚姻費用分担請求をした事案で,妻の部分に関して権利濫用として否定し,子の監護費用を婚姻費用として請求し得るにとどまるとしたり(東京高決昭58・12・l6),同じく夫が入退院を繰り返しているときに妻は援助せず,夫の同居の求めにも応じないという事案で,妻の生活費にかかわる部分を否定したり(岡山家玉島出審平4・9・21)している。妻が離婚に合意して離婚届に署名押印し,財産分与を受けておきながら,離婚届不受理申立てをし,婚姻費用分担請求をした事案で,妻の部分の婚姻費用分担請求を,衡平の.見地から全面的に否定する例もある(札歌山家審昭59・5・18)。ただし,有責者からの分担請求であっても,全面的に請求を否定するのではなく,別居後間もない時期の数カ月については,求職期間とみて最低生活を維持させるのに必要な程度の分担はすベきとする例もある(名古屋高金沢支決昭59・2・13)。
学説には婚姻が破綻していれば,有責性には関係がなく婚姻費用分担義務は消滅し,民法752条の義務のみが残るとし,同居をしていない場合には,生活扶助義務の程度で足りるとするものもある。
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●離婚問題(離婚申立一覧・判例等)
平成25年度より相続税の改正が成立(平成25年3月29日)、平成26年1月1日・平成27年1月1日施行となりますが、今までよりも増税になり、相続対策が必要となります。
H26.1.1より小規模宅地等の特例の改正(一棟の二世帯住宅・老人ホームに入所)
h27.1.1より小規模宅地等の特例の改正(小規模宅地等の特例の土地の面積が拡大(240平方メートル→330平方メートル)、特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等の併用(330平方メートル+400平方メートル))
―教育資金の一括贈与に係る贈与税非課税措置について―H25.4.17文部科学省が公表
「子・孫に贈与」-緑の贈与制度、風力、地熱、太陽光、バイオマス、小水力などの再エネを対象とした投資証券や、太陽光パネルなどの設備を贈る非課税となる新制度。
政府・与党は検討に入り、秋にまとめる税制改正大綱に盛り込み、平成26年から導入予定。
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